
先日、新しい住人がウチのマンションの上の階に引っ越してきた。
若い夫婦のようだが、今どきのチャラい感じでなんだか嫌な予感がした。
3歳くらいの子供の姿も見え、走り回る音がうるさいことが懸念された。
しかし、その家族が住み始めて最もうるさい騒音は子供の騒ぐ音ではなく電子ドラムをたたく音だった・・・。
マンションで電子ドラムをたたくなよ!子供の足音よりよっぽどうるさい!
日中、引っ越しの音が鳴り響く中、あと少しでましになると思い我慢しながら過ごしていた。
なんでこんな日に限って会社が休みなのか。
できる事なら会社にいて、引っ越しの音なんぞ聞かずにすめばよかったのだが。
外に出ようにも無趣味な私には行く場所もなく、上の階の引っ越しが騒がしい中でも昼寝をしている嫁の顔が何とも憎らしかった。
引っ越しが終わると、今度は子供が走り回る音がする。
まぁ引っ越し当日という事もあるから多めに見ようじゃないか。
若い夫婦とはいえ少ししたら子供に教育していくだろうに。
夜になり、子供は寝たようで物音もしなくなった。
時刻は夜8時過ぎ。
やっと平穏な日常が戻って来た。
静かに隣のマンションでも覗いて・・・いや、景色でも眺めよう。私にとっての至福の時間だ。
しかし、少しするとなんだかリズミカルな音が響いてくる。
響いてくるその振動はウチの天井から伝わってくるものだった。
何だこの音は!?
私には未知の音過ぎて全く理解できなかったが、しばらくすると消えていったのでその日はそのまま眠ることにした。
それから1週間。
毎日のように謎の音がするため、引っ越してきた若い夫婦のもとへ向かうことにした。
すると、若い夫婦はチャラい寝間着に着替えながらきょとんとした顔で私を見ていた。
「どうしたんすか?」
何とも鼻につく話し方だ。
キムタクにでもなったつもりが不細工め。
何かの音がすると伝えると、ドラムをたたいているというではないか。
マンションでドラムなんぞけしからんと一刀両断!
「電子ドラムなんで大丈夫っす♪」
いやいや、こっちが現実にうるさいと言っているだろうが!!!
思わず手が出てしまったが、旦那は私に向かって、
「暴力っすか?マジありえないっすね」
と言いドアを閉めた。
私は殴り返されるかと思い、そのまま腰を抜かしてしまった。
1ヶ月後

あれから1ヶ月。
忘れたころに私のところへ警察が来た。
上の階の夫婦から暴力について相談されているとのことだった。
全治一週間のけがをさせた暴力事件だった。
うるさいからだと説明したが、だからと言って暴力はダメだと厳重注意をされた。
その後、上の階の夫婦が示談で済ませてくれたため、前科者にはならずに済んだ。
私は今、マンションでギターを弾いている。
騒音と言われることはない。
なぜなら私も電子ドラムの音を我慢しているからだ。
他の住人も私のギターの騒音に苦しめばいい。